ご相談にはいろいろなものがありますが、そのなかで多いものが、自分自身の性格と人間関係に関することです。
この2つには密接なつながりがあります。
つまり、相手が自分か他人かという違いだけで、結局は、コミュニケーションがうまくいっていないということです。
コミュニケーションとは、事実と感情のキャッチボールです。特に大事なのは、それぞれがどう感じどう思っているかという「感情」をやりとりすること。
そして、その基本は会って話すことです。メールや電話は便利ですが、リアルなコミュニケーションとは情報量が違いすぎます。感情は、対面したときの表情や声のかんじなどから、文字だけと比べ9倍伝わると言われています。
直接会わずに、自然に理解が深まっていくということはありません。
些細な誤解が原因でも、直接話し合うことを避けていると、知らないうちに誤解が誤解をよんで、時間が経てば経つほど取り返しのつかない溝ができあがってしまうこともあります。
確かに、コミュニケーションがうまくいっていないときに、その問題に向き合うのは気が重いものです。
頭に血が上っていたら、少し時間を置くことも時には必要でしょう。
しかし、もし失いたくない相手なら、あまり時間を置かずに、きちんと話し合うべきです。
放っておけば、確実に状況は悪化します。一見沈静化したかに見えても、水面下で火種はくすぶり続け、消えることはありません。
最悪の場合、相手はコミュニケーションすることをあきらめ、拒絶モードに入ってしまいます。
いったんそうなってしまうと、修復するのは非常に難しいものになります。熟年離婚はその典型でしょう。
つまり、人間関係を良好に保つにはコミュニケーションを続ける努力が必要だということです。
よく「面倒くさい」と言う人がいますが、コミュニケーションは本来面倒くさいものであり、その面倒をかけてこそいい関係が築けるのです。
人間には感情があるのですから、花やペットを育てるより手間がかかるのは当然です。
いい関係は、日ごろから手間暇かけてこそ手に入るもの。ラクしていい関係は得られません。
また、一度悪化した関係が時間を置けば自然に改善するということはないので、問題が起きたときには、普段以上にコミュニケーションを丁寧にして、早めに軌道修正すべきです。そのままにしておくと、必ずしこりを残します。
ただ、やはり問題に向き合うということはしんどいことですから、相手や状況を選ぶことも必要です。
自分にとって、それほど大切ではないこと、一時的になんとかやり過ごせば済むことや、距離を置いてつきあえばいいひととのことであれば、適当に流しておきましょう。
どうでもいいひとにエネルギーを消耗するのは非生産的でとてももったいないことです。その分はどうぞ大切な人に使ってください。
人間関係に優先順位をつけることに罪悪感をもつ必要はありません。大切なのは、メリハリやバランスです。
どうしても失いたくないひと、大切なひととの問題は、ほかのことを多少犠牲にしてでも、なるべく早く解決するように、どんなことが起きても逃げずに正面から受けとめていきましょう。その姿勢そのものが、相手に対する誠意であり、その誠意は必ず相手に伝わって、2人の信頼関係はより深まっていきます。
そして、コミュニケーションをするときは、
「お互いさま」
「それぞれ考え方や感じ方が違う」
「言わなければ伝わらない」
「他人は変えられない、変えられるのは自分だけ」
ということをどうぞお忘れなく。
コミュニケーションとは、キャッチボールにたとえられるように双方向のものです。従って、
「自分の話をもっと聴いてほしければ、相手の話もよく聴く」
「相手の気持ちを知りたければ、まず自分の気持ちを伝える」
「もっと思いやってほしければ、相手のことも思いやる」
というように、相手に望むことはまず自分から率先して実行する、自分がされて嫌なことは相手にもしないということを意識しましょう。
自分がハッピーでいるために面倒でも言葉による説明や確認にエネルギーを注ぐ、これが成熟した大人のコミュニケーションです。
特に注意すべきなのは、自分の感覚が普通だと思ってそれを相手に押しつけてしまうことです。「普通」の感覚は本当に人によってぜんぜん違います。それを間違っているとばかりに自分の感じ方を押しつけるのは、相手の感じ方を否定して矯正しようとするのと同じ。明らかに行き過ぎです。
また、「どうして察してくれないのか」という訴えもとても多いのですが、残念ながら、「察してもらいたい」というのは望みすぎ、甘えすぎです。言語能力がある大人なら、言いたいことは自分で表現すべきです。
コミュニケーションがうまくいっていないときは、相手に過剰な期待をしていないか、相手を自分の思い通りに変えようとしていないか、相手に自分の要求をきちんと言葉で伝えているか、相手の気持ちを少しでも考えていたかなど、自分の問題として今の状態に取りくんでみましょう。
これをコントロールできない相手の問題にすりかえてしまうと、関係改善の可能性を自ら遠ざけてしまうだけでなく、被害者意識が強くなって自分を変えるチャンスも逃してしまいます。
まずは、自分の気持ちを伝える努力をしましょう。
と言うのも、ご相談のなかで「言ってもきっとわかってもらえない」「こう言われるにきまってる」などと言って最初から伝えることをあきらめてしまっていることがあまりにも多いからです。
黙っていては何も相手に伝わりませんし、一方的に意見を押しつけても相手には理解してもらえません。
大事なのは相手にわかるように伝えること。(*これをアサーションといいます)
わかってほしければ、わかってほしい人が伝え方を工夫するしかありません。それには、トライ&エラーを繰り返して学んでいくしかありません。
コミュニケーションは、練習すれば誰でも必ず上手になります。
どんなことでも初めから上手な人はいません。
傷つくこともあるかもしれませんが、それも大事な勉強です。
焦らず少しずつ、勇気を出してコミュニケーションを練習しましょう。
頑張れば、必ずごほうびがありますよ。
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