なにかうまくいかなくなったとき、私たちはその原因を外に求めてしまいがちです。
しかし、はたして本当に、環境や誰かのせいだけでしょうか。
いくら環境が悪いと嘆いても、その環境を選んだのは自分です。
少なくとも大人になってからの責任は自分にあります。
多くの場合、行き詰まったときは、まず、続けるかやめるかの選択があります。続けることを選んだ場合、次に、改善の努力をするか、現状維持でがまんするか、という選択があります。つまり、大きく分けて、やめる・改善の努力をする・がまんするの選択肢があり、たいていは「やめる」選択があるということです。
悩んでいるときは何も選べないことが多いと思いますが、実は、何も選ばないということは、「やめる」も「改善の努力をする」も選ばず、「現状維持」を選んでいるということになります。だから選ばないことにも責任はあるのです。
選ぶときのポイントは、自分がハッピーになる可能性があるかどうかで決めていいと思います(*他人の幸せは二の次です)。簡単に言えば、その対象のことが今も好きならやれるだけのことをやって、それでもダメならやめればいいのではないでしょうか。私は個人的に、自分を傷つけてまでがまんしなければならないことはないと思っています。
たとえば、人間関係でうまくいかないとき、それが大切なひとであれば、エネルギーをつかうことを覚悟して話し合いをするなどしっかり向き合ったほうがいいですが、そうでないなら、これ以上エネルギーを消耗しないよう必要最低限の関わりにとどめ、自分を守ることを優先していいと思います。
環境や人間関係というのは変化していくものです。そして、変化のスピードや大きさはひとそれぞれ。まわりの変化に自分がついていけないこともあれば、反対に、自分の変化にまわりがついてこられないこともあります。その場合は、残念ながら今までの距離感では関係を維持できなくなるかもしれません。人間関係の距離感が時とともに変化するのは仕方のないことです。過去の関係に執着してもお互い苦しくなるだけです。
また、もしいつも同じような壁にぶつかってしまうとしたら、そこには何らかの意味があると考えてみてはいかがでしょう。
同じパターンでうまくいかないことが続くと、だんだん嫌になって自信を失い、やる気もなくなっていきがちです。そんなときは、その課題を乗り越えないと次の段階には進めないから何度も同じような問題が生じてくるのだ、と考えてみてください。
いくら環境や人間関係を変えても同じようなトラブルに遭ってしまうようなら、間違いなくそれは「課題」です。
似たようなことを何度も繰り返した苦い記憶があるなら、今回こそは勇気を出して、その問題に向き合ってみてはいかがでしょうか。
その場合、問題は、自分のなかにあることが多いものです。
自分で選んだ環境(仕事や人間関係)がしっくりこないということが続くのであれば、自分に合っていない選択をしている可能性があります。正しい自己分析ができていないために、自分に合わない環境を求め続けて失敗を重ね、どんどん自信をなくしているのかもしれません。
適性の問題以外に、最近はハラスメントの問題もあります。職場だけでなくプライベートでも、ハラスメント被害はがまんする価値も意味もないので、できれば信頼できる第三者に相談して、できるだけ自分を守るために早く逃げてください。
さらに、いつも同じようなタイプのひととトラブルを起こしやすいときには、もしかしたら、自分の嫌な部分を相手のなかに見出しているのかもしれません。(*心理学では投影といいます)
そもそも「他人と過去は変えられない」のですから、トラブルの原因を他人のせいにしている限り状況は変わりません。状況を変えたいのなら、変えられる自分自身に目を向けましょう。
投影とは、本当は自分の中にある自分で認めたくない部分を他人の中に見つけて自分の分まで嫌悪してしまったり、あるいは本当は自分が嫌っているのに加害者になりたくなくて「私が嫌われている」と思い込んだりすることです。つまり、自分の嫌いな部分に過剰反応してしまうのです。
ありのままの自分を受け入れられないと、その代わり他人ばかり気にするようになり、考え方も感じ方も被害妄想的になっていきます。これでは悪循環です。いくら環境や相手を変えても、同じことが繰り返されるだけです。
自分が嫌悪している自分自身を認め、そんな自分と一生つきあっていく覚悟を決めない限り、この悪循環からは逃れられません。
いいところも悪いところも含めて今の自分があるということを受け入れましょう。
完璧な人間はいません。「こんな私」でも一生懸命生きている、誰だってその人なりに頑張っている、それでいいのではないでしょうか。
それに、自分自身を認められないと、他人からの承認で自分を満たそうとしてしまい、他人の目が気になってしかたなくなります。これがいわゆる承認欲求で、とてもやっかいなものです。なぜなら、いくら他人に認めてもらっても自分を認められていないと、「もっともっと」と満足できないからです。それに、自分を認めて大切にできていないと、本当の意味で他人から大切にされません。
今までのトラブルは、そんなところに起因してはいないでしょうか。
もちろん、自分を認められていてもトラブルに遭うことはあります。しかし、その場合は、最小限のダメージでうまく対応できるはず。さらに、その経験を次に活かすことができるでしょう。
他人や環境からは逃げられますが、自分自身からは逃げ切れません。
どんなに見たくない、認めたくない部分があっても、ないことにはできません。むしろ、意識すればするほど、かえってそれらに振り回される結果になってしまいます。
今まで目を背け続けていた自分自身に向き合うことは、とても気が重く怖いことかもしれません。
でも大丈夫。自分をよく知っていくことは実はとても楽しいことなのです。みなさん、始めるとどんどん表情がいきいきと変わっていきます。
あなたはあなたのいちばんの味方です。自分だけは決して自分を裏切りません。
だから、安心して弱い自分、汚い自分を認めてください。きっとそんな自分を愛おしく思えるようになります。
ひとりで自分に向き合うのが難しければ、遠慮なくカウンセラーを利用してください。
勇気を出せば、その分、必ずご褒美があります。
自分のことを認められるようになると、他人の目を気にせず自分が自分でいられるようになり、とてもさわやかな解放感と穏やかな気持ちを得られます。
自分を大切にできるようになると、自然と他人からも大切にされるようになります。
あなたもこの清々しい感覚を味わってみませんか。
穏やかな日々を送るために、ひとりでは切り替えが難しいときはカウンセラーによるサポートを受けてみませんか。
ご一緒にあなたの問題を考え、整理して、納得のいく解決法を提案いたします。