カウンセリングをしていると、ものごとを悪いほう悪いほうへ考えてしまい、自分で自分を追いこんで苦しんでいる方がとても多いと感じます。
そういう方がよく語られることに「考えないように忙しくしている」というものがあります。しかし、そうしていると考えすぎてしまうひとりの時間を避けるようになり、いつまでもゆったりリラックスすることができません。
考えないようにする(思考停止)のはその場しのぎ的な問題の先送りにすぎず、何の解決にもなりません。本当に必要なのは、考えるべきことをしっかり考えるということです。
そもそも、考える力があるということはすばらしいことです。その力をわざわざ使わないようにするなんて大変もったいないことです。せっかくの力は有効活用しましょう。
問題は、考える方向性です。考えすぎて苦しくなってしまう方は、考える方向が現実離れしている傾向があります。
たとえば、つい自動的に、最悪の最悪を考えていたりはしませんか。
リスク・マネジメントとして、最悪の事態を考えておくことは必要です。
しかし、最悪の事態が起こる確率は実はとても低いものです。確率だけで考えれば、最悪の両極にある最良の事態も同じ確率で起きるはずです。そして実際は、最悪でも最良でもない、その間でほとんどのものごとは起きています。
実際に、最悪の最悪の事態が起きる確率は非常に小さく、さらにその最悪はほとんどゼロと言ってもいいでしょう。そんな非現実的なことを一生懸命考えて苦しくなることに、はたして何の意味があるのでしょうか。
では、考えるべきこととは何か。
考えすぎの人は、心配性で不安が強いことが多いですから、まずは何を恐れているのか、不安の中身を具体的に掘り下げていきます。
そして、最悪の事態をよく考え、そうなった場合の対策をしっかり考え、必要な準備があればしておきましょう。
たとえば、大地震が起きたらどうしようとただオロオロするのではなく、起きたときに備え、避難場所や連絡手段を確認したり、災害用品をそろえたり、食料を備蓄したりということです。そうすれば、いざというときに落ち着いて対応できます。これが、最悪の事態への備え方です。
そうしたら次に、最良の事態を空想して楽しみましょう。
両極の事態を想定しておけば、あとはその間に起きる事態に対処すればいいだけのこと。何が起きても慌てず対処できるはずです。
最悪の最悪は、もしも本当に最悪の事態が起きてしまったら、そのときを基準に次の最悪の事態として考えればいいことです。
考えすぎているときは、たいてい最悪の事態の先を考えているのではないかと思います。そうした妄想モードに入っていることに気づいたら、すみやかに現実に立ち戻り、最悪の事態より悪いことを考えるのはやめるようにしましょう。
このとき、くれぐれも考えすぎている自分を責めないように。
今までの考え方のくせは急には変えられません。「あ、またやっちゃってる」と少しずつ気づいたらやめるを繰り返すことで適切な考え方を身に着けていきましょう。
どうぞせっかくある考える力を生産的に有効活用してください。
考えないようにするなんて、実にもったいない!
起こりそうもないことを一生懸命考えて消耗するより、目の前の現実をよく見て建設的にエネルギーを使いましょう。
エネルギーを上手に使えるようになれば、考えすぎて消耗していた分のエネルギーをもっと楽しいことに使えるようになります。練習すれば誰でもできるようになることなので、ぜひ焦らず練習を続けてみてください。
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