人間関係の基本はコミュニケーションですが、コミュニケーションには、ノンバーバル(非言語表現)とバーバル(言語表現)があります。
実は、対面しているときは、ノンバーバルが9割以上と圧倒的な影響力を持ちます。
ノンバーバルとは、表情や声のトーン、話し方、ファッション、身のこなしなどです。
これらは第一印象を決定する重要事項ですから、初対面のときには、できるだけその場にふさわしい自分らしい装いや立ち振る舞いをするよう、気をつけた方がいいでしょう。
立ち振る舞いや身なりをTPOに合わせて変えるということは、自分の気持ちを盛り上げるだけでなく、相手に対するマナーでもあります。
同じように、会話も、相手や状況に応じて変えるものです。表面的な社交でいいのか、理解し合いたいのかで話す内容も深さもまったく違ってくるはずです。
どんなときでも自分のおかれた立場や役割がわかっていれば、そんなに恐れなくても大丈夫。
ある程度の練習(経験、場数)を積めば、誰にでもできるようになります。
習い事だと思って、少しずつ上達するつもりで練習してみましょう。
では、会話のコツについて。
なんといっても、基本は「お互いさま」の精神です。
たとえ仕事で上下関係があったとしても、人間としてはまったくの対等ですから、臆せず堂々としていましょう。
コミュニケーション、つまり、会話は双方向のキャッチボールです。
コミュニケーションが苦手だという人は、「おもしろい話ができない」「雑談が苦手」など、話し下手を気にすることが多いのですが、ここに大きな誤解があります。
コミュニケーションにおいて大事なのは、おもしろい話をすることではありません。反応することです。
反応するとは、自分が話の中心になってまわりの注目を集めることではなく、話しているひとに集中して、あいづちをうったり、質問をしたり、共感したり、聞かれたことに答えたり、自分のことを話したりなど、その場に意識的に参加すること。雰囲気づくりに協力することです。
極論すれば、ずっとニコニコして黙っていてもいいんです。(仏頂面や不機嫌そうな表情は雰囲気を壊すのでNGです)
ですから、話し下手な人は、まず聞き上手を目指してはいかがでしょう。
人は、ちゃんと聴いてもらえるのであれば、他人の話を聴くより自分の話をするほうが好きだと言われています。
おそらく誰にでも「わかってもらいたい」という承認欲求があるからでしょう。
だからこそカウンセリングや占いなど、お金を払ってでも話を聴いてもらいたいと思うわけです。
会話は原則「お互いさま」ですから、本当は話す役と聞く役は半々が理想ですが、もし話すことに自信がないなら、進んで聞き役を引き受ければ大いに喜ばれるので、会話の練習としては、まず聞くことから始めるといいでしょう。
ここでおススメしたいのは、アクティブ・リスニングと呼ばれる積極的傾聴です。これは、相手を理解するための聴き方です。
話し下手な人は自動的に聞き役にされてしまうことが多いと思いますが、これは消極的な聞き方で、傾聴とはまったく別のもの。
傾聴に必要なのは、共感です。
消極的に聞いているときは「うん、うん」とあいづちをうち、たまには「そうなんだ~」くらいは言うかもしれませんが、積極的に聴くときは「へー、それは頭にくるよね」「ビックリしたでしょう」「それは嬉しいよね~」など、相手が感じたであろう気持ちを言葉にして返します。こうして相手の気持ちを想像して言葉にするためには、相当集中して話を聴かなければなりません。これが「積極的」に聴く姿勢です。
さらに、相手の話を補ったり広げたりするような質問をすることも効果的です。こんなふうに関心をもってもらえたら、多くの人は嬉しくなってどんどん話したくなるものです。
実は、いいカウンセラーはいい質問ができる人だと言われています。
いい質問をするには、相手の話をよく聴きながら相手のことをよく見て、相手の気持ちを想像することが不可欠です。
また、カウンセリングにも共通していることですが、アドバイスはなるべくしないようにします。
ネガティブな話を聴くとつい何か言いたくなってしまいがちですが、多くの場合、相手はただ聴いてもらって共感してもらいだけなのです。お願いされてもいないのにアドバイスするのは過干渉です。「相手の問題は相手のもの」と自分に言い聞かせ、本当に深刻な問題なら、専門家に相談するように勧めましょう。
つまり、相手に関心をもち、相手を尊重する姿勢でいるということですね。
そうすれば、会話でNGである相手の話をさえぎって自分の話をしてしまったり、ダメ出しをしたり、説教をしたり、自慢話をしたりすることは自ずと避けられるはずです。
聞き上手になれば、自分から積極的に話題を提供しなくても充分会話を楽しめるようになると思いますが、それでも、あいさつだけは自分から発するように頑張ってください。
コミュニケーションに苦手意識をもっている人は、あいさつも苦手なことが多いのですが、あいさつはコミュニケーションの基本のキ。
あいさつは人の印象を大きく左右します。あとはニコニコして黙っていてもいいですから、最初の印象をつくるあいさつだけは頑張って笑顔で明るくするようにしましょう。コミュニケーションにおいて、あいさつは最初にして最大のポイントです。(ちなみに、メンタル不調の多い職場には挨拶がないことが多いです)
最後に、雑談についてですが、雑談は会話の潤滑油ですが、実はこれをこなすのは会話の上級レベルです。
会話に苦手意識のある人にとってハードルが高いのはあたりまえです。それに、会話が苦手な人は、本当は雑談をしたいとも思っていないのではないでしょうか。そうであれば、無理に参加することもないですし、もし目の前で雑談になったときは、ニコニコしてその場の雰囲気をじゃましないようにしていればOKです。
会話が苦手だという人は、ともすれば自分が話すこと=わかってもらうこと=認めてもらうことに意識が向きがちですが、「お互いさま」の原則に従えば、わかってもらいたければ先に相手をわからなければならないので、話すことより聴くことを意識してみてください。話し下手な人は、意外と、人の話を聴くことも苦手であることが多い気がします。
一方で、自分をわかってもらいたければ、わかってもらえるように整理して話すスキルも必要です。
自分も相手も大切にして、言いたいことを工夫して上手に伝えることを「アサーション」といいます。(問題は話の内容より、伝え方であることがとても多いです)
今はアサーションに関する本がたくさん出ていますから、興味のある方はぜひ本屋さんで探してみてください。
きっと役に立つと思います。
会話はスキルを磨けばどんどん上手になります。
共感が上手になると、相手から信頼されていい関係が築けるようになるだけでなく、自分のことも深く理解できるようになるので自信がつきます。
とにかく、どんなことも言語化することが大事です。
「どんなひとも最初は初心者」、さあ、一歩を踏み出しましょう!
*傾聴とアサーションは女性のためのハッピーセミナーでも取り扱っています。興味のある方はぜひご参加ください。
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